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station-12 [station(短編)]

はじめから読む

「えーなになに?確かに、何も聞いてない。」
賢二は、気持ちよくきっぱりと言う。
「やっぱりな。賢二は、プリンに夢中だったもんな。」
そして、さっきまで話題の外にいたはずなのに、スッと話題の中心に自分を持っていく。
「そうそう。食後のプリンはサイコーなのよ。」
 自分のじゃないくせに、よく言うわ。そう半ばあきれながら志保は会話に耳を傾ける。
「って、もう。プリンはどうでもいいから。俺でもモテそうな仕事って何だと思う?」
敦司が真剣な顔で、賢二に聞く。
周りは、笑いを漏らす。あまりの真剣さにみんなして大笑いしたいのをこらえてるという感じ。
 さっきから、ずっとこの話題なんだと、彩が志保に耳打ちする。
「くくっ・・・。あっちゃん。そんなこと真剣にきかんでも。」
賢二も笑いながら返す。
「なんだよ。賢二も笑うんかよ。俺は真面目に聞いてるんですけどっ。」
「って、真面目に聞くことか?小学生みたいだぞ。」
「それでもいい。賢二。俺になんかアドバイスくれっ。」
そういって敦司は、身を乗り出す。
 賢二は敦司に圧倒されて、体をイスにぐっと預ける。
そして、腕を組むと天井を見上げた。
志保も、みんなもそれまでは敦司がおかしくてたまらなかったけど、賢二と同じで圧倒された感じで、誰も笑いを漏らさなかった。
 もてる仕事って何?志保も頭の中でなんとなく考えながら、賢二の方をチラリと見た。
 志保の視線に気がついたのか、賢二は、志保にいつにない、困った表情を見せた。
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