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station-2 [station(短編)]

はじめから読む

 大学四年の秋にもなると、単位も取り終わり学校に来る回数は極端に減った。
志保も、時間割は仲間との情報交換もかねた最小限に抑えて、自由な時間を作っていた。だから最近は、授業のない曜日に出てくると親しい友人にも会う事もない。

 自分の自由な時間も、期限付きで、友達との時間も期限付き。
 大学生という身分の期限が迫っている。

 賑やかな学内を一人で歩いていると、普段は考えもしないのに、突然そう思うと、心から、離れなかった。
志保を取りまく全てのものに期限があって、何もかも全て、自分自身も終わってしまうそんな気がしてならなかった。
いつもは、残された時間を惜しむことなく、春からの社会人としての生活が楽しみで仕方なかった。志保は一年前に自分の学生生活は終わったのだと、言い聞かせていたからこそ、春を心待ちにしていたのに。
 ほんの一瞬のことかも知れないけれど、学生生活に未練を感じている自分が、志保は許せなかった。

 
タグ:自作小説
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